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朝、着替えようとして腕が上がらない。髪を洗おうとしたら激痛が走った。そんな経験をきっかけに「四十肩かもしれない」と気づく方が多くいらっしゃいます。四十肩(五十肩)は、40〜60代の約10〜20%が経験するとされる(日本整形外科学会参照)ほど身近な肩関節痛でありながら、適切なケアをしないと症状が1〜2年以上続くこともある厄介な状態です。この記事では、四十肩・五十肩の原因から、自分でできる見分け方・セルフチェック・セルフケアまでをわかりやすく解説します。
四十肩・五十肩はなぜ起こる?肩関節の構造から原因を理解する
四十肩・五十肩の本質は「肩関節を包む袋(関節包)や靭帯の炎症・癒着」です。正式名称は「肩関節周囲炎」といい、骨や軟骨そのものの損傷とは区別されます。
肩関節は人体の中で最も可動域が広い関節で、上腕骨(二の腕の骨)・肩甲骨・鎖骨が複雑に連動して動きます。この広い可動域を支えるために、関節包という薄い袋が関節全体をおおっています。加齢によって関節包やその周囲の組織が硬くなり、血流が低下すると、わずかな刺激でも炎症が起きやすくなります。
また、近年の研究では神経系の過敏状態も注目されています。肩周囲の神経が慢性的な緊張状態に置かれると、炎症が落ち着いた後も痛みや動きの制限が残りやすくなることが分かってきています。デスクワークや長時間のスマートフォン使用による姿勢の悪化が、この神経過敏を引き起こす一因になっているケースも少なくありません。
痛みが出る時間帯・動作・部位で原因の状態を見分ける
四十肩・五十肩の症状の出方には個人差があり、「いつ」「どんな動作で」「どの部位に」痛みが出るかによって、現在の病期(ステージ)や主な炎症部位をある程度推測できます。
| 症状の出方 | 考えられる状態 | なぜその時間帯・動作で強くなるか |
|---|---|---|
| 夜間〜明け方にズキズキ痛む | 急性炎症期(炎症が活発な時期) | 横になると肩への圧力が変わり、炎症部位の血流が変動するため。副腎皮質ホルモンの分泌が夜間に低下し、炎症を抑える力が弱まることも関係する |
| 朝の動き始めだけ激しく痛む | 炎症期〜拘縮移行期 | 就寝中に関節液の循環が滞り、関節包が固まりやすくなるため。動き始めることで循環が再開し、数分後には痛みが和らぐことが多い |
| 夕方になるにつれて痛みが増す | 拘縮期(関節が固まってきた時期)・筋疲労の蓄積 | 日中の使用で肩周囲の筋肉が疲弊し、緊張が高まることで関節への圧迫が増すため |
| 腕を横に90度以上上げると痛む | 棘上筋腱(肩の上部を通る腱)への刺激 | 腕を90度付近に上げると腱が肩峰という骨の出っ張りに挟まりやすくなるため(インピンジメント) |
| 腕を後ろに回すと詰まる感じ | 後方関節包の拘縮 | 後ろに回す動作では後方の関節包が引き伸ばされるが、拘縮があると伸びず、骨頭が前方にずれて詰まり感が出る |
| 安静にしていても肩の奥がうずく | 関節包内部の炎症が強い状態 | 動かさなくても炎症物質(サイトカインなど)が関節内で産生され続けているため |

片側だけに症状が出る場合は四十肩・五十肩の可能性が高く、両側同時に起きる場合は関節リウマチや石灰沈着性腱板炎(腱に石灰が溜まる状態)など別の疾患も考えられます。
セルフチェック|腕がどこまで上がるか・どこで痛むかを確認する
四十肩・五十肩の可能性を自分でチェックする方法を2つご紹介します。
チェック1:スクラッチテスト(Apley Scratch Test)
手順:
- 痛い方の腕を頭の後ろに回し、反対側の肩甲骨上端に指先を近づける(外転・外旋の動き)。
- 次に、同じ腕を背中に回し、反対側の肩甲骨下端に指先を近づける(内転・内旋の動き)。
判定の目安:
健側(痛みのない側)と比べて指先が10cm以上届かない場合、または動かす途中で鋭い痛みが走る場合は、肩関節の可動域制限が存在する可能性があります。整形外科の診察でも用いられる確認方法です。
チェック2:ペインフルアーク徴候(Painful Arc Sign)
手順:
- 腕を体の横からゆっくり外側に上げていく。
- 腕が体から60〜120度の範囲にあるときに痛みが出るかどうかを確認する。
判定の目安:
60〜120度の弧を描く途中(特に90度付近)だけ痛みが強く、それ以上上げると逆に痛みが軽くなる場合は、腱板や肩峰下滑液包(肩の骨と腱の間にあるクッション)に炎症がある可能性があります。120度を超えても常に痛い場合は関節包全体の拘縮が疑われます。
自分でできるセルフケア3つ|可動域の回復を目指すアプローチ
セルフケアは、炎症期(強い安静時痛・夜間痛がある時期)には無理に行わないことが大前提です。安静時の痛みが落ち着いてきた段階から、以下を少しずつ取り入れてみてください。
セルフケア1:振り子運動(コッドマン体操)で関節液を循環させる
四十肩の回復期に整形外科のリハビリでも広く用いられる運動です。
やり方:
- テーブルに痛くない方の手を置き、上体を前に約45度傾ける。
- 痛い側の腕を自然に垂らし、力を完全に抜く。
- 体を小さく揺らし、腕が振り子のように前後・左右・円を描くように動かす。
- 各方向20〜30秒ずつ、1日2〜3回行う。
ポイント: 腕の力で動かすのではなく、体の揺れに腕を乗せるイメージが重要です。無理に大きく動かす必要はなく、直径10〜15cm程度の小さな円から始めて構いません。
セルフケア2:胸椎のモビリティ(動かしやすさ)を改善するタオルストレッチ
肩関節の動きは、背骨の上部(胸椎)の柔軟性と密接に連動しています。胸椎が丸まって固まると、肩甲骨の動きが制限され、四十肩の症状が長引きやすくなります。
やり方:
- バスタオルを筒状に丸め、床に横向きに置く。
- タオルを胸椎(肩甲骨と肩甲骨の間あたり)の下に置き、仰向けになる。
- 両腕を天井に向けてまっすぐ伸ばし、そのままゆっくり頭の後ろ方向へ倒していく。
- 痛みのない範囲で20〜30秒キープし、タオルの位置を2〜3cm上下にずらしながら同様に行う。
- 1日2回、各ポジション20〜30秒を目安に行う。
注意: 腰が強く反る場合は膝を曲げて足裏を床につけた状態で行うと安全です。
セルフケア3:神経の滑走性を高める上肢神経モビライゼーション
腕を動かす神経(腕神経叢)が肩周囲の硬くなった組織に引っかかると、痛みの長期化を招くことがあります。神経系へのアプローチとして、以下の動きで神経の滑りを促すことが改善の一助になる可能性があります。
やり方:
- 椅子に浅く座り、背筋を自然に伸ばす。
- 痛い側の腕を体の横に自然に下ろし、手首を手の甲側にゆっくり反らす(背屈)。
- そのまま肘を軽く伸ばし、腕全体を外側に少し広げる(外転10〜20度程度)。
- 次に手首を手のひら側に曲げながら(掌屈)、腕を元の位置に戻す。
- この「反らす→広げる→戻す」をゆっくり10回繰り返す。1日2〜3セット行う。
注意: 鋭い電気的な痛みやしびれが出た場合はすぐに中止し、専門家にご相談ください。
四十肩のときにやってはいけないこと
1. 痛みを我慢して腕を無理に上げ続ける
炎症が活発な急性期に痛みを無視して動かすと、関節包や腱へのダメージが蓄積し、炎症がさらに広がります。「動かさないと固まる」という焦りから無理に動かす方が多いのですが、急性期(強い夜間痛がある最初の1〜3か月程度)は、まず炎症を落ち着かせることを優先する方が回復が早まる場合が多いです。
2. 患部を長時間強くマッサージする
炎症を起こしている組織を強く圧迫・摩擦すると、炎症反応がさらに高まり、痛みが増す場合があります。マッサージ自体を完全に否定するものではありませんが、急性期には患部への強い刺激は避け、首や背中の周囲など遠い部位のほぐしにとどめることが望ましいです。
3. 痛みが怖くて腕を全く使わない(完全固定)
急性期を過ぎてもまったく動かさない状態が続くと、関節包の癒着が進み、拘縮(かたまり)が固定化されてしまいます。拘縮が強くなるほど回復に時間がかかります。痛みが許す範囲内で、振り子運動のような軽い動きを日課にすることが、拘縮の進行を抑える上で重要です。
病院での治療と当院の施術|選択肢を知っておくことが大切
整形外科では、四十肩・五十肩に対して主に以下の治療が行われます。
- 消炎鎮痛薬(NSAIDs)・湿布: 炎症と痛みを薬で抑える。急性期に有効なことが多い。
- ステロイド注射(肩峰下注射・関節内注射): 強力な抗炎症作用で痛みを短期間で軽減する。再発例では複数回行うこともある。
- 理学療法・リハビリテーション: 可動域回復を目的とした徒手療法や運動療法。拘縮期に特に重要。
- サイレントマニピュレーション・手術: 拘縮が非常に強く保存療法で改善しない場合に検討される。
これらは症状や病期に応じて組み合わせて行われます。整形外科での診断・治療を受けながら、並行して神経系ストレッチや運動療法でアプローチする方法も、症状の改善を後押しする可能性があります。
受診の目安|このサインがあれば早めに整形外科へ
以下に当てはまる場合は、セルフケアよりも先に整形外科または医療機関への受診を優先してください。
- 外傷(転倒・衝突など)の後から急激に腕が上がらなくなった(腱板断裂の可能性がある)
- 腕や手に強いしびれ・脱力感が同時に出ている(頸椎疾患や神経障害の可能性がある)
- 38度以上の発熱が肩の痛みと同時にある(化膿性関節炎など感染症の可能性がある)
- 夜間痛が2〜3週間以上続き、日に日に増している
- 肩が腫れており、触ると熱感がある
- 安静にしていても3〜4週間で改善の兆しが全くない
これらのサインは、四十肩・五十肩ではなく別の疾患が原因である可能性を示します。自己判断でのセルフケアを続けることでかえって悪化するリスクがあるため、まずは専門医による診断を受けることをお勧めします。
セルフケアを続けても改善が感じられない場合や、どのケアから始めればよいか不安な場合は、神経系ストレッチの専門プログラムを用いた当院の施術をご相談ください。佐賀県武雄市など遠方からもご来院いただいており、久留米・田主丸エリアからも多くの方にお越しいただいています。
よくある質問
四十肩・五十肩は何科を受診すればよいですか?
まずは整形外科を受診されることをお勧めします。レントゲンやMRIで腱板断裂や石灰沈着などの別の疾患を除外した上で、適切な治療方針を立てることができます。整形外科で診断を受けた後に、リハビリや運動療法を並行して行うと回復の幅が広がります。
四十肩は放置するとどうなりますか?
適切なケアをしないまま放置すると、炎症が長引いたり関節包の癒着(拘縮)が固定化されたりして、症状が2〜3年以上続くケースがあります。日本整形外科学会の情報でも、放置した場合に可動域が完全に戻らないケースが一定数あることが示されています。早めにケアを始めることが、回復期間の短縮につながる可能性があります。
四十肩は温めるのと冷やすのはどちらが良いですか?
急性期(発症から1〜4週間程度で、安静時痛・夜間痛が強い時期)は患部を冷やすことで炎症を抑える効果が期待できます。一方、急性期を過ぎて痛みが落ち着き、関節の動きにくさが主な悩みになってきた拘縮期には、温めることで血流が改善し、組織の柔軟性が高まりやすくなります。判断に迷う場合は、担当医やリハビリ専門家に確認されることをお勧めします。
神経系ストレッチ(神経整体)の概要
神経系ストレッチ(神経整体)は、ストレッチトレーナー兼子ただし氏が考案した、神経の滑走性を改善することで痛みや可動域制限を根本から解消する施術法です。
従来の筋肉へのアプローチだけでなく、神経の動きそのものを改善することで、慢性的な痛みや神経痛に対して高い効果を発揮します。
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